現代を生き抜く能登杜氏たちの酒造りへのこだわりと、挑み続ける理由とは…。

ストーリー

石川県能登半島を出身とする酒造りの技能集団「能登杜氏」。そんな彼らの夏はというと……漁業や農業に勤しみ、自然と共に暮らす姿がありました。酒造りとは、農閑期となる冬、現金稼ぎのため仕事を求め働きに出たことが始まりだったのです。家族と離れ、辛く厳しい現場で、蔵全体の行く末を左右するほどの責任が課せられるたった一人の選ばれし「杜氏」というポジション。その昔、酒を腐らせ自殺する者もいたと言います。全国の杜氏集団の中でも、現在の吟醸酒の礎を築いた有名杜氏たち四人衆。「能登杜氏四天王」。彼らが築き遺したもの、それは後輩杜氏の中に息づいていました。四人全員を師とする現役トップの杜氏、坂口幸夫杜氏と家修杜氏。そして、その下に続く、若手杜氏たち。その中には、能登杜氏始まって以来の初の女性杜氏のデビュー姿や、大きすぎる先輩の背中に追いつけないジレンマの中にある者も……。

人物相関図

制作にあたって

監督 石井かほり

「もう一度、映画で能登に光をあててください」この一言から始まりました。

私が監督を務めた能登を舞台としたドキュメンタリー映画『ひとにぎりの塩』。その上映後に展開していた現地ツアーの様子を知った能登の酒蔵様から、今度は能登杜氏を追ったドキュメンタリー映画を制作して欲しいとの依頼をいただきました。再び能登に通えること、しかも、美酒がテーマということに胸が高鳴りました。しかし、大寒の時期、不眠不休の酒造りは想像を遥かに超えた過酷な労働だったのです。なぜこんなキツイ仕事を選ぶのか。二年半かけて、その答えを私なりに紡いでみました。改めて、貴重な体験をさせていただいたこと、支えてくださったすべての皆さまに深謝申し上げます。